先輩」
「え?!あ、久々知くん」

声をかけると先輩はびくりと肩を震わせた。

「どうかした?」

一つに纏めた長い髪を風に遊ばせながら、何処か焦ったように問いかけてくる。それにおもしろくない、と感じながらも 何でもないように応える。

「いえ、姿が見えたので…」
「あぁ、そっか」

笑いながら返事をするとまたすぐに視線は俺から外されて元に戻る。それに胸が軋んだ音をたてた気がした。
先輩の視線の先を辿ると、やはりあの人の姿が、
いつだってそうだ、
いつも声をかけた最初だけだ
頬を桃色に染めるのも、少し上づる声だって俺に向けられたものではない…
だけど、見たくないと思っても目が自然に先輩を探してしまう、聞きたくないと思っても耳が勝手に先輩の声を拾い上げてしまう。
その度に胸が苦しくなる
けど、それでも少しでも先輩の目に俺を映して欲しくてまた声をかけるのだ。


きずつくくせに




先輩、」






廻る風車






(20080908)